TOPに戻る

いしかわ映像作品コンテスト令和3年度優秀者表彰式

優秀な映像を手掛けた県内の製作者に送られる、石川映像作品コンテストの表彰式が36日 本多の森庁舎で実施されました、高砂ビデオクラブに所属の小屋忠男さん「真冬に和傘咲く」が最優秀賞として県教育委員会賞を受賞した。モチーフの和傘を制作された山田ひろみさんが花束を贈呈した。高砂ビデオクラブの藤平田友一さんの作品「思い出を語る」は石川県視聴覚教育協議会会長賞を受賞した。表彰式はYoutubeでご覧下さい。
表彰式

左  小屋忠男     右  藤平田友市
真冬に和傘咲く    思い出を語る

令和3年度「いしかわ映像作品コンテスト」最優秀賞

真冬に和傘咲く   小屋忠男さん作

立春間近かの2月1日、真冬とは考えられない北陸の青空。

カメラはその青空を嘗め回す導入部。

軽やかなメロデーを伴って視聴者を誘い込むイントロ。

 

卯辰山金沢市民芸術村職人大学校で、

和傘の天日干しが行われると聴き、撮影を試みた。

この日は和傘作り工程3ヶ月間の貴重な一日。

油をひいた和傘を乾燥させる為の天日干しの作業が行われる。

冬場には珍しい好天。

天日干しも撮影にも絶好の日照だ。

 

作業中の職員、山田ひろみさんは、和傘を手に説明をはじめた。

明瞭な発音で折からの観光客にも解説が続く。

冬場では室内干しだと4日間は要るという工程の一端。

 

和傘の美しさは内側にあるという。

傘をさす女性本人のために細やかな作絵と工夫が施されてある。

自然透過光を通した傘の裏側は、まさにアートの世界。

夜目、遠目、傘の内という諺があるが、

女性の美しさを増幅する仕掛けがあるのだ。

女性なら誰が傘をさしてもきれいに見えるのだろう。

かつての時代は女性が好んで和傘を求め、

自らを傘模様に浸り自己表現したのであろうかを想像させる。

延々と山田さんの解説が日傘の絵柄を背景に続き、

伝統産業としての和傘づくりの一端を垣間見た気がした。

 

エンディングは、小屋節全開、余韻を残して終わる。

しかし現代、日常で和傘の女性は本当にいるのだろうか。

昨今は限られた場所でしか見られないのは惜しい。

 

YouTubeへの本作品投稿は凡そ10年前だが、

伝統産業記録として永久保存したい作品だ。

旧作品は経過するほど価値があるから。

(文責:審査委員:岡野重和さん)


令和3年度「いしかわ映像作品コンテスト」  奨励賞

「思い出を語る」   藤平田友市さん 作

昭昭和36年9月6日犀川の大洪水があった。

犀川大橋から100メートル上流で堤防が大決壊した。

作者の家も床上浸水で多大な被害を被った。カメラ大好きの友市青年(当時30歳?)は、

被害の様子をつぶさに記録しておいたのだ。ビデオの前半は、60年前の、家屋の被害惨状などが

次々と映し出され藤平田節とともに展開する。

当時の様子を知っている人はだんだん少なくなってきた。

戦後復興途上で治水もいまいちという時代、こんな姿を歴史の証として是非残すべきと考え、

今回のビデオ編集を思い立った。

ビデオの後半は、当時作者と同じ大工町・野町に住んでいた旧友の石浦誠さんに

60年前を振り返り,水害の様子を思い出しながら語ってもらった。

聞き手の藤平田さんも相づちだけ、石浦さんの衝撃的な体験談が淡々と続く。

視聴者は前半の被害映像を想起しながら反芻出来ると思う。

作品構成として、インタービュ中にインサートで被害映像を入れる手法もあるが、

本作品のように過去の映像をすべて見せて、後半に語りのみを配置した。

時系列が明確なるが故にインパクトが大きく視聴者に訴える力も持っている。

60年の格差を強く感じるであろう。金沢市内の自然災害は今も続く。

雨水で市内の主要道路が決壊し、上部の民家にまで被害が及ぼうとしたニュースは真新しい。

浅野川の氾濫も度々である。城下町が受け継いでいる宿命を感じ、

雨水被害に対する警告メッセージとして、この作品を受け止めたい。

災害だけでなく、自分の人生を振り返る機会になるのでなかろうか。

前の東京オリンピック開催前の社会現象、そして終わったばかりのオリンピックまでの社会変化は大きかった。このビデオから、

個人や社会、様々の変化を考えるきっかけにしたいものである。

(文責:審査委員:岡野重和さん)